幼稚園の床の上に張り巡らされた線路の上は、子どもたちのイメージが形となった様々な電車が思いを乗せて、がたごと がたごと 走る。
始めは、なんとなく作ってみる。すると、そこから、どんどんイメージが膨らんでくる。
「ここに、えんとつがあるんだよ」「このうえに、ひこうきがついてて、そらもとべるんだ」
「うんてんせきには、ペンギンさんと、おかあさんがすわってる!」「ぞうも、くるよね」
「とっきゅう やけ、すんごい はやいんよね」「これなんか、ちょうとっきゅう やけ、もっともっとはやいんよ」「にかいだてのも あるんよ」「さんかいだても!!」
「ひゃっかいだてもよ!!!!」
もう、止まらない。それぞれが自分の今までの経験や知識、イメージを持ち寄り、刺激し合い、それによって、世界が広がり、どんどん、イメージが引き出されていく。
そして、友だちのよりも、かっこいいものを、みんなを、あっと言わせるものを作りたいという、意欲や、競り合う気持ち、また、憧れの気持ちも生まれてくる。初めて芽生える、いろいろな感情に戸惑いながらも、子どもたちは留まることなく成長し合っている
友だちがいるからこそ、世界が豊かにされていく。
その姿は、大人が立ち入ったり、声をかける余地すらない、子どもだけの、世界。
そして、時に、彼らは、輝く笑顔で振り返り、「せんせい!みてみて!!」と立ち入る事を許してくれる。
その瞬間、扉が開かれる。
広くて、豊かなその世界・・。共有できる事の幸せをかみ締める・・。
やっぱり、ここは、居心地がいいなあ・・。