・・・狼は小羊と共に宿り 豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に育ち 小さい子供がそれらを導く。牛も熊も共に草をはみ その子らは共に伏し 獅子も牛もひとしく干し草を食らう。・・・
『イザヤ書』11章6~7節
まだまだ続く残暑の中、噴き出す汗を拭いながら、ふと木陰に吹き込む風や空に流れる雲に秋が次第に近づいてきていることを感じる頃となりました。
園庭に住んでいるカメさんやニワトリさん、アリさんやダンゴムシさんたちは、言葉はしゃべりませんが、子どもたちの元気な声が戻ってきたことをとても喜んでいることでしょう。
『旧約聖書』の後半に『イザヤ書』があります。大預言書と言われ、イエス様が生まれるはるか昔、紀元前8世紀頃に書かれたと言われていますが、まるでキリスト(救い主)としてのイエス様の生涯を見通しているかのような記述が見られる不思議な一書です。
国連ビルの礎石には『イザヤ書』2章4節の次の言葉が刻まれているそうです。
「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない」
『イザヤ書』には、神様による平和とはどのようなものかについて随所に述べられています。
さて、冒頭のみことばですが、この部分を読むと私の脳裏には子どもの頃アニメで見た手塚治虫さんの「ジャングル大帝」が懐かしく思い出されます。
アフリカのジャングルの王者は白いライオン、パンジャ。その子どもレオも、また白いライオンで次の王者と期待されています。
レオは、草食動物たちや肉食動物たちが平和に共存していくために、また、かけがえのない友であるとともに最大の敵でもある人間たちと平和に共存していくために、苦悩しながら仲間とともに前向きに生きていきます。
そのようなテーマを子ども心に感じながらファンタジーの世界を楽しんでいた記憶が蘇ります。
イエス様は「敵を愛しなさい」と言われました。また、「隣人を自分のように愛しなさい」とも言われました。
単刀直入でとてもシンプルな言葉ですが、実践しようとすると、なかなか困難で、途方に暮れてしまうことがあります。しかし、迷う心の中に「幼い子どものように心を鎮めて自分の足元を見つめてごらん」と小さな囁きが聞こえてくるように感じるのです。
『聖書』のみことばに接するたびに、乾いた心が潤され、不思議な慰めと勇気で満たされるように思うのです。 園長 松永章