無心に、電車で遊んでいる一歳の男の子
と、唐突に、、、
「ママ…」と小さな唇が呟きます。
背中越しに聞こえる幼い声。
こちらを振り向くまでもなく、ママの温かいまなざしを心地よく感じていたのでしょう。
小さく丸まった我が子の背中を見守っていた母は、その愛おしい背中に向かって優しく答えます。
「はぁい」
小さな背中は、その時、ふっと緩み、また安心して、大好きな電車の世界に戻りました。
しっかりと受け止められた安心感を胸に、彼の電車は走ります。
これから、成長と共にその呼び方は「ママ」から、
「母ちゃん」、「おかん」、「ねえ」、「母さん」・・・と、
変わっていくのかもしれません。
でも、きっとこの日の光景は、しっかりと、母の心に刻まれていて、親子の歴史は、このういうきらきら光る、思い出のかけらと共に紡がれていくのでしょう。
「ママ」と呼ばれた今は、素敵な過去になっていくのですね。
「ふろむぜろ」にて